(lunes, 10 de junio 2024)
文/エンリケ坂井
Texto por Enrique Sakai
Joaquín el de la Paulaのソレアー① 他の例
アルカラーのソレアーを代表する創唱者ホアキンの最もよく知られたスタイルであるソレアー①(便宜上①番とします)を前回取り上げましたが、ひとつの例だけでなく他の歌い手がどう歌ったかを示すとその特徴がより解りやすくなると思うので、ヒリーカの時と同じく別の例をあげてみよう。
実に多くの例が思い浮かんできます。例えば、マイレーナならA la Virgen de los Reyes(レージェスの聖母様に)、ファン・タレーガだとInfierno que te vayas(お前の行く地獄へ)、マノリート・マリアAl paño fino en la tienda(店に置かれた布に)、マヌエル・トーレPor nadie lo había yo hecho(他の誰のためにもそれをしなかった)、パストーラCuando se empaña un cristal(ガラスが曇ったら)などなど…、キリがありません。
この中でホアキンの精神に最も近いのは(私の独断だけでなくスペインの愛好家達の意見によれば)マノリート・デ・マリアとファン・タレーガだ。
二人共にホアキン直系の人達だが、今回はマノリートを取り上げます。
マノリート・エル・デ・マリア、本名はマヌエル・フェルナンデス・クルス(1904~1965)で1964年にカンテの重要な全集「アルチーボ・デル・カンテ・フラメンコ」(通称「赤箱」)にソレアーとブレリアを録音したが共に素晴らしい出来で、この録音からホアキン直伝であろうソレアー①を書き出してみよう。
(Letra)
Al paño fino en la tienda
una mancha le cayó,
(una manchita fue y le cayó,)
se ha 〈vendío〉 por bajo precio
porque perdió su valor.
(訳)
店に置いた上質な布に
ぽとりとシミが落ちた、
値打ちを失った布は
安く売られていった。
カッコの部分は2行目を言い換えたもので、fue y で cayóに勢いをつけている。
歌う順は前回と同じでやはり3、4行目の繰り返しは無し、4行目は実際にはporqu'ha(ポルカ)〈perdío(ペルディーオ)〉と聞こえますが、これだと音節が9になるので元の歌詞に戻してあります。
この歌詞は比喩的な意味合いを持っているので、それぞれが自分にとっての意味を感じれば良いと思う。
マノリートは絶妙な自由さで歌っているので、多少はコンパスを意識して書きましたが、直し過ぎるとその自由な精神が壊れそうなのが悩ましい。
読者の皆さんはぜひ赤箱のマノリートを何度も聴いていただき、楽譜には書けない部分を感じていただきたい。
【筆者プロフィール】
エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール)
1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~34(以下続刊)。
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