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アルテの泉 ~La Fuente del Arte~Ⅴ

(viernes, 27 de octubre 2023)


フラメンコダンサーとして様々な舞台で活躍し、また舞踊作品の振付や演出、さらには教室を主宰するなど多才な活動を行っている田村陽子さんの連載を、毎月1回半年間にわたりお届けします。

第5回目となる今月は、偶数月のテーマ「プロに聞きたい!Q&A」として、フラメンコの踊りにまつわる様々なお悩みに答えていただきました!


文/田村陽子

Texto por Yoko Tamura

フラメンコダンサー田村陽子連載2023年10月
写真©NAOKO MIURA

Side A:プロに聞きたい!Q&A


Q1. エスコビージャ(足技)を打ってるときに、身体がグラグラしたり上下に揺れたりしてしまいます。安定して打てるようになるには、どんな点に注意したらいいですか?


A1. エスコビージャに限らず身体がブレてしまっては、見ている方も不安になります。まずはしっかりと体幹部に力を入れることですね。左右の腰骨を結んだあたりを意識して。背中の方にグッと引き寄せるような感覚を持つとよいでしょう。その時に股関節を固めないように注意しましょう。股関節の動きがロックされると前モモに力が入り、上手く足を打てなくなってしまいます。そして床の下から誰かに引っ張られているように密着させると安定感が出ます。余分な力が入りすぎていると余計にぶれるので、体幹以外の力を抜くことも必要です。



Q2. ブエルタが上手に回れません。どんな練習をしたらいいですか?


A2. 先のエスコビージャとも共通しますが、力を入れすぎないことがとても重要です。一回転ならば「回る」というより「振り向く」という感覚の方が良いでしょう。顔が向いた方向に体は付いてきますので、顔と体が別々に動かせるように。誰かにトントンと肩を叩かれ振り返る時に体ごと向く人はあまりいないと思います。その感覚を思い出して。「回る!」と思うと途端にガチガチに固まってしまうパターンをよく見かけます。それでは体の各部位を別々に動かせません。顔を正面に残し体を先に旋回させもうこれ以上正面を向いていられないというところまで来たらクルッと振り返ります。それだけです。考えすぎずシンプルに。しっかりと床を押すことも忘れずに!最初はゆっくりコツコツと練習すればタイミングが合ってきます。



Q3. 本番前のリハーサル時間が十分に取れない時、ミュージシャンの方々と「これは絶対確認しなきゃダメ!」という大事なポイントはありますか?


A3. まずパロ(曲種)は絶対に確認しないといけないですよね。

何を踊るのか伝えた後は構成ですね。唄がいくつあるのか、アレグリアス系ならばシレンシオを入れるのか、最後はポーズで終わるのか舞台袖に捌けるのか。もし途中にリズムのカンビオがある場合は、確認しておくと安心です。

ただ、リハーサル時間の長短に関わらず本番では何が起きるか分かりません。これは覚悟しておいた方が良いでしょう。フラメンコが生ものである以上避けられないことであり、むしろトラブルこそ面白い♪と思えるようになるのが理想なのかもしれません。はい、フラメンコ難しいですね……。

ただし今そこで起こっているその瞬間を皆で同時に分かち合えた時の「オレー」はこの上ない喜びです。やはりこの究極の幸せを目指していきたいと思います。一緒に頑張りましょう!!


フラメンコダンサー田村陽子アーティスト写真
©清水洋子

【プロフィール】

田村陽子(Yoko Tamura)/フラメンコダンサー、フラメンコ教室「Estudio LA FUENTE」主宰。

幼少よりバレエ、バトントワリング、ジャズダンス等様々なジャンルの舞踊を習得。17歳のころより中井不二子、アントニオ・アロンソ、水村繁子らに師事した後2002年小松原庸子スペイン舞踊研究所に入所。同舞踊団の下、フラメンコやクラシコエスパニョールをスペインの著名アーティストらに指導を受け、国内外の公演に多数参加。2012年7月退団後は国内のタブラオ出演や多様なジャンルとのコラボレーション、テレビCM出演等多彩な活動をしている。また、スペイン留学を重ね多くの一流アーティストらに師事、研鑽を重ねつつ舞台やライブの創作活動にも意欲的に取り組む。

2011年第6回CAFフラメンコ・コンクール優勝。2015年フラメンコ生活20周年記念公演「Mirada∼Piano con Duende」にて平成27年度文化庁芸術祭新人賞受賞。


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