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『真夏の夜のフラメンコ』

小松原庸子スペイン舞踊団

第52回野外フェスティバル

野音100周年特別企画「日西民族舞踊の祭典」


(sábado, 2 de marzo 2024)

 

2023年7月29日(土)  17時開演

日比谷野外大音楽堂(東京・日比谷)


撮影/大森有起

Fotos por Yuki Omori

文/金子功子

Texto por Noriko Kaneko


第52回真夏の夜のフラメンコ ©大森有起
(写真)スペイン舞踊ラ・ビダ・ブレベ

  好天に恵まれた7月最後の週末。今やフラメンコの夏の風物詩といえる、小松原庸子スペイン舞踊団の野外フェスティバル「真夏の夜のフラメンコ」が東京の日比谷野外大音楽堂で開催された。

 「野音」の愛称で親しまれるこの会場が創立100周年ということもあり、今回は特別企画「日西民族舞踊の祭典」として、若手太鼓奏者ユニット「英哲風雲の会」と東京高円寺阿波踊りの「吹鼓連」をゲストに招き、総出演者数は公表値で155名という、稀に見る大規模なフェスティバルになった。


 オープニングは子供たちと先生の群舞からスタート。曲はアレグリアス。元気いっぱいに愛らしく踊る姿に、会場のあちこちから「かわいい」と声が上がる。ブレリアでは小さい子もソロで踊り、場内からは歓声と拍手が上がった。

 続いては少女たちと大人の女性たちの群舞で、セビジャーナスとファンダンゴ・デ・ウエルバ。マントンやアバニコを使った演出やグループ編成に変化を付け、エレガントさや瑞々しさを表現した。


 主宰の小松原は開演のあいさつで、「今回で52回目を迎えますが、これからも研究を重ねて良い舞台を作っていきたい」と語り、創作活動への一層の意気込みを見せた。


 2発の大砲が鳴り、スタートの合図を告げる。

 闘牛士姿のダンサーと赤と黒の衣装を着た女性ダンサーらによる、エスパーニャ・カニーの大群舞。伝統音楽に乗せて闘牛士らは勇ましく、女性たちは優雅で雰囲気のあるスペイン舞踊を繰り広げる。


 城壁を描いた背景幕が落とされると、生伴奏によるフラメンコやスペイン舞踊のステージへ。

 今回は踊り手らが主宰する教室の生徒らによる群舞が揃えられ、ペテネーラやソレア、シギリージャ、カラコレスなど様々な曲種が続く。どの出演者も各々の演出に個性が光り、ボリューム感のあるステージ構成。

 他にも、バタ&マントンのパレハによるマラゲーニャや、20人近い群舞によるクラシコ・エスパニョールで馴染みの曲「バイレ・デ・ルイスアロンソ」など、このような公演ならではの演目も。また舞踊団員らとスペイン人男性ダンサー4人によるラ・ビダ・ブレベでは、パリージョを奏でながら端正に踊るスペイン舞踊にフラメンコとはまた一味違う魅力も楽しめた。


第52回真夏の夜のフラメンコ ©大森有起
(写真)マラゲーニャ

 全日本フラメンココンクールの歴代入賞者や今回のファイナリストによるステージでは、小松原舞踊団と関わりの深いクリージョによる振付と演出でシギリージャとブレリアを披露。またカンテ部門で準優勝の許もソロで渾身の歌声を響かせた。


 心地良い夜風に吹かれながら観る舞台は楽しい。客席を見渡すと、あちらこちらで扇子やプログラムで仰いで涼みながら、夏の夜の舞台を楽しんで観ている。

 辺りが暗くなってくると、赤や緑のカラースポットライトなど舞台照明もより鮮やかに見えてくる。


 クアドロのステージでは、一番手の田村が成熟した美しい踊りでタラントを披露。堀江のグアヒーラはしなやかで滑らかな所作が印象的。蜂須のシギリージャは大きな動きで力強さを表現、渡部のティエントはキレの良さと溜めの強さでメリハリが魅力的だ。斎藤と小谷野のカンティーニャは息の合ったパレハでゆったりとした空気感を醸し出し、大沼のソレアは曲を引っ張っていく力強さに溢れる踊りを魅せた。


 夜も更け公演の終盤は、「英哲風雲の会」の太鼓パフォーマンスと、「吹鼓連」の阿波踊り、そしてスペイン舞踊によるコラボレーション・ステージ。同じ舞台で一堂に会する機会などまず無いであろうレアな共演だ。このような舞台が実現できたのも、小松原が長年にわたる舞踊活動を通じて培ってきた幅広い友好関係の賜物だと言えよう。


 全てのプログラムが終わり、最後は小松原の挨拶と出演メンバーの紹介、そして振付指導を行ったクリージョも挨拶に立った。フィナーレは、舞台狭しと並んだ大勢の出演者らによるセビジャーナスとブレリアが繰り広げられ、延べ3時間半に及ぶ一大イベントは幕を閉じた。


 2024年度から老朽化による建て替え工事が予定されていたため、野音での開催は今回が最後とされていた。しかし今年1月25日の東京都の発表では、工事の予定変更などに伴い野音の使用期限を2025年9月末頃まで延長する予定とのこと。そうなると、「野音での最後の真夏」はまだもう少し先の話になりそうだ……。



【出演】

クリージョ

ディエゴ・オルミエール・カルボネル

ルベン・ロホ

ボルハ・マルチネス


第4回全日本フラメンココンクール入賞者&ファイナリスト(50音順)

内田好美(優勝) 平田かつら(小松原庸子特別賞)

青木ルミ子 鎌田奈津 石黒裕子 吉海江陽 大江智子 栗原正子

許 有廷(カンテ準優勝)

石田久乃(第3回優勝)


大沼由紀 渡部純子 堀江朋子 蜂須夕子 斎藤恵子 小谷野宏司 田村陽子

鈴木敬子&カデーナ フラメンカ

鈴木眞澄

ベニート・ガルシア&ベニート・ガルシア舞踊団

松彩果&大橋新&ともだち列車たからもの号&フラメンコエナジーズ

笹岡洋子&鶴幸子&ラティドス フラメンコス

森山みえ&三枝雄輔&森山みえフラメンコ舞踊団


小松原庸子スペイン舞踊団

中島朋子 松尾美香 北山由佳 玉沖朋子 藤川淳美 関真知子 横山さやか

伊集院久美子 髙橋麻木 鈴木真弓 林美奈子 鈴木小登子 金光三枝子 柴垣由紀 阿部智恵 平田小織 森谷真寿美 青島英里

久保智恵 平林夏々子


東京シティ・バレエ団

渡部一人 石井智也


英哲風雲の会

高円寺阿波おどり吹鼓連


カンテ:ファン・ビジャール、有田圭輔、三枝雄輔

ギタリスト:長谷川暖、宇田川卓俊

パーカッション:山本将光、モイセ・エレディア


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